2016年5月16日 星期一

アニメ「コメット・ルシファー」特集 菊地康仁×大橋彩香対談 - 音楽ナタリー

10月からTOKYO MXなどでオンエアされるテレビアニメ「コメット・ルシファー」。青く輝く鉱石・ギフトジウムに覆われた惑星ギフトに暮らす少年ソウゴ・アマギとその仲間たちと、不思議な少女フェリアとの出会いと、その出会いによって彼らが繰り出すこととなった冒険を描くオリジナルアニメ作品だ。

このアニメの監督は「マクロスF」などで知られる菊地康仁。今作「コメット・ルシファー」ではその「マクロスF」がそうであったように、ヒロイン・フェリアの歌う数々のエンディングテーマ、劇中歌が物語の重要なキーとなるという。そこで音楽ナタリーではアニメ第2話アフレコ直後の菊地とフェリア役の声優・大橋彩香の元を訪れ、「コメット・ルシファー」の見どころとともに、アニメと音楽の関係について聞いた。

取材・文 / 西原史顕 撮影 / 佐藤類

テーマはヒロイン・フェリアの成長

──いよいよテレビアニメ「コメット・ルシファー」の放送が近付いてきました(取材はアニメ放映前)。まずは監督に、この作品のテーマをお伺いしたいと思います。

左から大橋彩香、菊地康仁。
菊地康仁 ヒロインであるフェリアの「成長」ですね。今日、まさしく大橋さんには生まれたてのフェリアの芝居をしていただいたわけですけども、ここから彼女がどんどん変わっていくさまを見せようというのが本作です。

──そのフェリア役に大橋さんを起用した理由とは?

菊地 これは期待でもあるのですが、僕ら制作陣のそうした意図、「ヒロインの成長」というテーマを汲み取って、フェリアの芝居をどんどん作っていってくれると予感をさせてくれたのが大橋さんだったんです。

──対する大橋さんのフェリアの印象はいかがでしたか?

大橋彩香 最初にキャラクターの設定をいただいたときには「謎の少女」という印象が強かったんですけど、アフレコが始まると、非常に元気でワタワタ動きまわるタイプの女の子だとわかって。まだ生まれたばかりで目の前のことに興味津々で仕方がないという感じで、すごく活発ですよね。

大橋彩香が演じるフェリア。
──フェリアが石の中から生まれてくるところから、物語が始まるんですよね?

大橋 そうなんですよ、パーンって出てきて(笑)。2話ではまだ小さい女の子のような存在で、しゃべり方も幼いんです。なので、アフレコの前に実際の赤ちゃんとか幼稚園に入る前くらいの子がどんなふうにしゃべるのか、おうちで映像とか観て研究しました。

菊地 確かに今日のアフレコではかなり役を作ってきてくれていましたよね。

大橋 ホントですか? ありがとうございます!

菊地 2話では脚本も画も……だいたい2~3歳児くらいかな? それくらいのイメージでフェリアを描いているんですよ。だから大橋さんの芝居はピッタリだったなって。

私、アニメの話を聞かないほうがいいですか?

──劇中、フェリアはどのように成長を遂げていくのでしょうか?

菊地 人との関わり合いの中で成長していく感じですね。フェリアを発見した主人公のソウゴ(・アマギ)たちメインキャラクターと関わっていくことで、何を感じて、どうやって人間としての感情を獲得していくか。最初は単語しか知らなかった女の子が、だんだん自分の感情を言葉にするようになってきて、もしかすると恋愛感情を育むまでになるかもしれない。そんなところが物語のポイントになるかと。

大橋 しかもフェリアは飲み込みが早いので、第2話の段階でもぐんぐん成長しているから、これからどんな女の子に育っていくのか楽しみですね。エレベーターに乗ってるんじゃないかってくらい、どんどんステップアップしているので。

菊地 そんな感じですよね。

──今「どんな女の子に育っていくのか楽しみです」とおっしゃってましたけど、フェリアの今後について大橋さんはどの程度知らされているんですか?

大橋 まったく!(笑) 監督からは「フェリアと一緒に成長していってください」と言われていて。アフレコの現場でも何も教えてくれないんです。第1話のときはそもそもセリフがなかったので「今日はフェリアのお芝居について指示がなくても当たり前だよな」と思ってたんですけど、初めてセリフを言うことになる第2話を録った今日のアフレコの前にも指示なしで。「はい、Aパート始めてー」といきなり録音が始まっちゃってました(笑)。

菊地 フェリアの人物像に関してはあえて説明しておりません(笑)。さっきお話した通り、フェリアの成長の過程は、ほかのキャラクターとの関係性の中で描かれていくことなので。フェリアとほかのキャラクターとの関係が希薄な今の段階では、演じる大橋さんにも無垢な状態でいてほしいんです。

──なるほど。となると、大橋さんの前では作品の内容について突っ込んだ質問をしないほうがよかったりします?

大橋 (おそるおそる)私、聞かないほうがいいですか?

菊地 そうしていただけると(笑)。ごめんなさいね。そういう作品なんです。

2つのアプローチでフェリアを表現したい

──いただいた資料によると、本作では11月11日にリリースされるニューシングル「おしえてブルースカイ」のほかにも、大橋さんが歌う複数のイメージソングが用意されるとのことですが、これもフェリアの成長を描く演出の一環なのでしょうか?

菊地 そうですね。BGMも含めてフェリアの成長に合わせて音楽で彼女の感情を表現できたらいいですね。特にその中で大橋さんが歌う楽曲がキーになれば、と思っています。

──これまでにも監督は音楽が物語の重要なキーを握っていた「マクロスF」でメガホンを取っていらっしゃいますよね。

菊地 だから音楽で感情を表現することや、演出の1要素に音楽を据えることって僕にとってはごく自然なことなんです。今回もフェリアの心の動きや成長をより立体的に描くために画や言葉だけでなく、音楽も積極的に使っていきたかったんです。

──大橋さんはそのアニメのストーリーを補強する“歌”にどう取り組んでます?

大橋 まだレコーディングが始まったばかりなので「こうしよう」みたいなしっかりした方針があるわけではないんですけど、演じている人間だからこそわかるフェリアの気持ちを歌に込められればと思いますし、逆に歌うことによってより深くフェリアを演じられたらいいなって。お芝居と歌の2つのアプローチで彼女をうまく表現できたらいいなって思いますね。

──フェリアの成長の度合いに応じて曲のテイストや大橋さんのボーカルも変わってきそうですね。

大橋 そうですね。実際「おしえてブルースカイ」はダンサブルでハッピーな曲なんですけど、先日レコーディングした別の曲はしっとりとした雰囲気で、歌詞にも大人っぽいフレーズがあったりしましたし。オリジナルアニメなので原作で物語を知ることはできませんし、今後の展開について教えていただいていないので(笑)、その曲が物語とどうリンクしているのかはわからないんですけど、だからこそ私自身「この曲はどうやって使われるんだろう」ってすごくワクワクしています。アニメを観ている皆さんにも曲ごとの違いを感じ取っていただいて。私の歌が物語を楽しむための要素の1つになればうれしいなって思ってます。


他者と異文化を知ることで成長する若者たち

──フェリア以外の「コメット・ルシファー」のキャラクターについても聞かせてもらえますか?

大橋 そうですねえ。まだアフレコが始まったばかりだし、アニメの中のキャラクター同士も探り探りみたいな状態ではあるんですけど……ソウゴをはじめメインのキャラクターがほぼみんな14歳という設定で。すごく思春期的な感じがして、そこはある意味フェリアと一緒なのかな、と思いました。心と体が成長していく姿が描かれている感じがするというか。

フェリアを守護するモウラ。
──あと成長とは無縁そうな、謎の小動物のモウラというキャラクターもいますよね?

大橋 モウラは「もうなんてかわいいんだろう!」って(笑)。台本の語尾に必ず「じゃもーん」と付いていて、水瀬(いのり)さんの演技もすごくかわいいから、モウラがしゃべると私だけじゃなくて、ブースのみんなの顔がにやけちゃってます。

──あとガーディアンというロボットも出てきますが、いわゆるロボット然としていないのにも驚かされました。

菊地 「コメット・ルシファー」ではソウゴたちの暮らす世界とフェリアの元いた世界という2つの異なる世界の文化体系を描いていて。で、ソウゴたちが住む世界は現実の我々の世界にも通じる工業中心の世界で、フェリア側は神秘的なファンタジーの世界なんです。だからフェリア側のロボは、いわゆるロボではなく、意思を持った怪獣みたいな描き方ができないかなと思って。それでああいうデザインになったという感じですね。

大橋 なるほど! ガーディアンはロボだけど声は出しますもんね。

菊地 そうなんです。で、ソウゴたちが住む世界のメカは軍事産業から生まれたいわゆるロボット。イメージとしては建設重機ですね。だから大橋さんの言う通り、物語が進むにつれてソウゴたちも成長、変化するんですよ。彼らはフェリアに出会うことで、彼女の住んでいた世界という異文化に触れることになるわけですから。

即興的なストーリーテリングのほうが楽しいじゃない

──ファンタジー感あふれる世界とリアリティのある世界、2つの文化が交錯する中でロボットバトルが繰り広げられることになる感じですか?

菊地 いや、実はそのロボットもの、バトルものという側面は、物語上そんなに重要じゃないんです(笑)。たまたまモウラやガーディアンのような存在がいて、また軍事産業が進んでもいる。そんな世界だったというだけなんです。

──でも第1話の時点でロボットの見せ場もいっぱいあるんですよね?

菊地 それでもあくまで“環境”の1つですね。それに“メカメカしい”アニメはほかにもいっぱいあるし、それこそ有名な作品もいっぱいあるので、今僕がやる必要はないかな、と(笑)。

──あくまで物語の軸となるのはフェリアたちの成長である、と。

菊地 はい。繰り返しになるんですけど、モウラのようなしゃべる小動物がいるファンタジー感あふれる世界と、工業が産業の中心になっているわりとリアルな世界がごちゃごちゃっと混ざり合う中で、フェリアがどう成長していくかってお話ですから。だから設定やデザインもわりとごちゃごちゃっとしているというか、流動的なんです。イメージビジュアルにしても美術ボードにしてもメカデザインにしてもそうなんですけど、各担当者がそれぞれよかれと思って提出してきたものをそのまま受け入れたりしてるんですよ。

──あえて物語全体のイメージを均質にしないようにしている?

菊地 それは音楽にしてもそうで、できるだけ日本やアメリカの匂いを感じさせないように気をつけようと打ち合わせしていますから。日本人にとって身近な音楽を使うと、観ている人のイメージが固定されてしまう。世界がごちゃごちゃっとしてくれないですから。だから劇伴作家の加藤達也さんにはラテンアメリカや中東、オーストラリアの民族楽器なんかを積極的に使っていただいていますし。大橋さんのイメージソングも、今後成長していくフェリアを演じる中でどう歌うかによって、仕上がりがどんどん変わっていくでしょうし。それもすごく楽しみにしています。

大橋 すごい! まさにオリジナル作品ならでは、即興的に物語ができあがっていっているというか。

菊地 そっちのほうが楽しいじゃない(笑)。みんなでいろんなアイデアやテクニックを持ち寄って作ったほうが。少なくとも僕の性にはそっちのほうが合っているんですよ。アニメ本編も、芯には「成長」というテーマがあるんですけど、話数によってとにかくいろんなことをやっていくつもりですし。SFだから、とか、ファンタジーだからとか、バトルものだから、とか、あんまり先入観を持たずに好きなように観ていただきたいですね。ぜひメシでも食べながら、何も考えないで観てほしい。ドタバタしたごった煮の世界を「ああ、今日も面白かったな」くらいの感じで受け取ってもらえたらいいですね。

大橋 この先、そんなにいろんな展開が待ってるんですか!?

菊地 大橋さんにはまだ内緒ですけど、用意してますよ(笑)。

──大橋さんもまたスタッフさんと同じように、“即興的”なお芝居が求められそうですね。

大橋 緊張しますねえ(笑)。今日のアフレコも即興的というか、自分の中の新しい引き出しを開いた感じでしたし。これまではわりと年相応というか、自分とそんなに変わらない年齢のキャラクターを演じることが多かったから、生まれたばかりのフェリアみたいな幼い感じの女の子を演じたのは初めてで。子供の頃に返ったみたいな気持ち……考えるより先に身体を動かすというか、瞬発力で演じてみたんですけど、いやあ、この先ホントにどうなるんでしょうね(笑)。視聴者の皆さんと一緒に、フェリアという女の子の性格をつかんでいきたいです。

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